Type Project —visible, but invisible.

2005年04月30日 土曜日

一二三月のドタバタぶりとは対照的に、四月は穏やかで収穫の多い月でした。天の恵みではないでしょうが、何かに感謝したい気持です。そしてこれからはその収穫物を分かち合うべく、共に果実を味わうべく、開墾から関わってもらえるような準備をしたいと思います。

2005年04月29日 金曜日

ブックオフでめぼしい本を四五冊買い、大丸ピーコックでGW中に食べるおやつを買ってエスカレーターを昇ると「ん?」な文字に出くわした。まさかと一瞬思ったが、M社の「セットがお得になりました」のポップに使われている文字がAXISフォントである。よく見ればメニューもだ。全国何百万の人々がこのメニューを見て注文している光景を思い浮かべずにはいられず、これまでに体験したことのない種類の高揚感を味わった。

 自転車と走る躑躅(つつじ)に負けじとて    茶門

2005年04月28日 木曜日

タイププロジェクトのメンバーとしての初仕事を終えたA君と祝杯を上げる。
「これから、ここから」という想いが沸々と。

2005年04月27日 水曜日

プロダクトデザイナー秋田道夫さんと代々木上原で昼食。剣道とフェンシングの異種格闘技「お手合わせ」。防具を付けて正眼の構えで向かう私と、ノーガードノンプロテクトの秋田さん。スクエア、つまり四角四面という秋田さんの鈴木評は、昔ならカチンとくるところ(そこが四角四面たるゆえん)なのだが、さすがに角もとれてきて「なんの活字はスクエアですから」とへらず口を叩けるくらいには大人になったようだ。夕暮れせまるオープンカフェで食べたメープルシロップがけアップルパイが美味でした。

2005年04月26日 火曜日

石神井書林店主 内堀さんとボート池わきにあるロニオンで昼食をとる。ごたごた荘と本をめぐる話題が半々で、経営と出版における独立採算性と書けばなんだか難しそうなテーマですが、無駄と気ままをいかに包みこむかという実にやんわりとした池ノ端カイギなのでした。オープンテラスが快適で、珈琲がおいしいのも気に入った。そうこうするうち石神井公園上空はまっくろな雲に覆われはじめ、スコールを浴びつつそれぞれの職場へと戻る。

2005年04月25日 月曜日

シックシステム・シンドローム。そんな言葉があるのかどうか知らないが、今回の列車事故の原因は、病んだシステムそのものにある。誰が悪いかではなく、どこを直すかの議論であってほしい。

2005年04月24日 日曜日

息子と同じ誕生日のツヅキが一泊。ひとつ違いのこの二人、平和的でお絵書き好きという点でも共通しているため、ペンと紙さえ渡しておけば夢中になって描いている。「ツヅキはほんとに線がうまいんだよねえ」と讃嘆の声をあげる息子。互いの力を認め合い、鎬(しのぎ)を削り合う二人に圧倒されどおしのわたし。これはそう「切磋琢磨」の図にほかならない。

 落ち椿忘れがたきは恋敵    茶門

2005年04月23日 土曜日

野際さん羽島さん小林さんの三家族が来訪。四月十九日生まれの一歳・三十八歳・四十九歳の誕生日会。なんとも不思議な絵づらである。

2005年04月22日 金曜日

久しぶりに六本木アクシスビルでの打ち合わせ。七月からタイププロジェクトのコアメンバーとして参加予定のA君にも同席してもらった。議題が彼の得意とする技術方面の内容だったし、彼のそうした面を発揮できるこの会合で担当者の方に紹介できればいいなと思ったので、いささか気の早い話ではあるがさっそく彼にお出まし願ったわけである。結果は良好。明日につながる確かな一歩。打ち合わせ後に二人で焼き肉を食べながらタイプデザインの可能性と展望について語り合う。ステップ・バイ・ステップ。

2005年04月21日 木曜日

木雲から「文字庵」亭主の号を授かった。もじもじしてて引っ込みじあんな私にぴったりなので有り難く頂戴することにした。一ヶ月まえに届いていた木雲評釈をようやくアップロード(木雲すまぬ)、2003年7月からとまっていた字々俳諧は、実に一年九ヶ月ぶりの更新です。

2005年04月20日 水曜日

私にとって大事な人、かけがえのない人とのコミュニケーションがこのところ続いている。その方法は電話であったりメールであったりフェイストゥフェイスであったりいろいろなのだが、最上のコミュニケーションとはつまり双方の琴線が響き合うことではないかと思う。そのためにはお互いの歴史がどこかで交錯し重なり合っていなければならない。長いだけがつきあいではないが、長いからこそ楽しめる琴線の音色というものがたしかにある。

2005年04月19日 火曜日

三十八歳になった。遠いように思えた四十代がはっきりと見えてきた。四十でいつも思い出すのは、例の「四十にして惑わず」ではなく、同じく孔子の「年四十にして悪(にく)まるるは、其れ終わらんのみ」のほうである。岩波文庫(金谷治訳注)では「まあ終わりだろうね」と訳されている。四十代の若い知人を前にしたときの司馬遼太郎は、いつも心で「それは大変ですな」とつぶやいたそうである。論語にはもうひとつこういう言葉も載っている。「四十、五十にして聞こゆること無くんば、斯(こ)れ亦(ま)た畏るるに足らざるのみ」。ここで五十歳説のほうを採るならば、三十八といえど「聞こゆる」デッドラインまでにはまだ十二年もあるわけです。昭和四十年代生まれのみなさん、四十に惑わされてはいけません。

2005年04月18日 月曜日

AXISタイププロジェクト2で欧文をお願いしている相棒の力を借りて、ようやく立方庵から仕事机と本棚を運び出した。新しいデザインルームでの仕事は、後ろを見たり左右を見たりと落ち着かなく、挙動不審なことこのうえない。しかしです、未来を想い描くのに誰に遠慮がいりましょか。存分にスペースデザインを楽しみたいと思います。「途中」に興味のある方はぜひおいでください。そうそう、spaceには余白という意味もありました。

2005年04月17日 日曜日

ひさしぶりに夜を徹して語り合ったのでもうへろへろです。お昼にモスバーガーでお茶しながら口説き続けるパワーが残っていたのはわれながらおどろきです。ここぞというときには踏ん張れるものなんですね。オニポテとオレンジジュースがおいしかったおかげでしょうか。

2005年04月16日 土曜日

タイププロジェクトの中核メンバーはまだ決まっていませんが、「意中の人」はいます。相思であるらしきその人に、レタースペースで同棲しませんかとプロポーズしました。残念ながら異性ではありませんが、異才の持ち主ではあります。

2005年04月15日 金曜日

本日も錯綜しております。平常運転が再開できるのはゴールデンウイーク明け、いやいやレタースペースの試運転は今年いっぱい続くはずで、いっそこの錯綜ぶりを楽しまねばというのが今の心境なのです。そういえば子供時代の基地作りにも似たわくわく感があります。局地戦のための砦づくりなんですねこれは。

2005年04月14日 木曜日

タイプデザインをスポーツに喩えれば、長距離走が近いのかもしれないが、実際の運動で私がもっとも苦手とするのがその長距離走である。なので広いグラウンドでプレイする野球やサッカーより、狭いコートでの瞬発力が求められる卓球やバレーのほうが性に合っている。デザインのフィールドも、だだっ広いグラウンドより狭いコートの方が好みで、もともと局地戦に惹かれる性分なのだと思う。昨日の健康診断では医師から「あと10キロ体重を増やしなさい」とアドバイスを受けた。学生時代のベスト体重がそのあたりだったので素直に頷いたものの、10キロ増やすのにはさすがに抵抗がある。身軽さをとるかスタミナをとるかという二者択一ではなく、肺活量を増やすとか足腰を鍛えるとか「局地的」に自分の身体を強化しながら自然に体重が増えるのが私の理想に近い。自転車も買い替え時だし、サイクリングあたりがいいかな。局地的なサイクリングですが。

2005年04月13日 水曜日

まったく種類の異なる作業を平行してやっているせいか、頭と動作がこんがらがっていてすこぶる能率が悪い。漢字のカウンターバランスを直しながら、床材のすき間をどう埋めるかを考えていたり、請求書を作成せねばと立ち上がると、どういうわけかおやつを取りに行ってたりする。

2005年04月12日 火曜日

職住を分離したメリットは今のところほとんど感じられない。体調を崩したときなどは職住一体のほうが明らかにまさる。自宅のネットワークがまだ開通していないため、この一ヶ月というもの自宅ではパソコンにまったく触れていない(だからさいきん夕方以降のメールに対する返信が遅いのです)。職住一体のころ「オンオフの切り替えはどうしているのか」という質問をたびたび受けたが、いったいデザインを生業としている者にとって、オンとオフ、仕事と生活の切り替えがそう簡単に行えるものだろうか。一生の間に、自らが志した職業にどっぷり漬かれる時期を持てたことに感謝したい。

2005年04月11日 月曜日

午前七時と午後三時半に弱震あり。自宅も仕事場も整理中の本が不安定な状態で積んであるので少しばかり胆を冷やす。このところレタースペースの在りようを考えている時間が長く、書体の修正作業が遅々として進まない。私のカタログショッピング経歴といえば、ミスミでPC用のサプライ品を買う程度だったのに、独り深夜に調度品のカタログを眺める習慣がついてしまった。○○ショッピングが流行る理由がおぼろげながら分かってきた。「ショッピング イズ エンターテイメント」という楽天のスローガンもなるほどなのである。

2005年04月10日 日曜日

石神井公園でお花見。昼からごたごた荘の人々が三々五々集まり出す。強い風にあおられて桜の花が舞う景色は誠に風流なのだが、弁当がどんどん砂まみれになるのには参った。エビスの黒とローストしたイカを中心に、てきぱきと飲み食い話す。

2005年04月09日 土曜日

引越してちょうど一ヶ月が経ったが、まだまともに新居で過ごした日がない。帰宅しても「おじゃまします」という感じである。カタログ通販で購入した本棚を組み上げ深夜に本の整理を行なう。引越しのとき自分の持っている本を仕分けしてみてわかったのは、私がここ十年ほど買い込んできた本の大半は、文字かデザインか俳句か経営のいずれかのジャンルに属しているということだ。文芸作品は無いに等しい。タイプデザインの世界に身を置く以前に買った本の乱雑さには、我ながらあきれてしまった。レタースペースの書架はとりあえず文字とデザインの本に絞り、それ以外の本は自宅に置くことにした。

2005年04月08日 金曜日

妻子の手を借りて10.5畳分のフローリングカーペットを敷きつめる。マロンがかった茶色の床材が思ったよりきれいで古い家屋にうまくなじんでくれた。引越し直後の写真と合わせてレタースペースプロジェクトの最新報告を近日中におこないたいと思います。

2005年04月07日 木曜日

三月いっぱいでふたつの仕事の契約が満了した。それぞれ半年・一年という契約期間は決して短いとはいえないが、AXISタイププロジェクトの第二弾はもう三年越しである。しかしここにきていよいよ出口が見えてきた。まだ仮の出口にしかすぎないけれど、とえりあえず地中から掘り出して光を浴びさせてやりたい。

2005年04月06日 水曜日

入学式の朝、晴れて桜は満開に。式の始まりで全員起立させて間髪いれずに国歌斉唱へ移った。起立と斉唱を強制するのではなく、気に入らなければ「わざわざ」座らねばならないという巧妙な段取りである。体育館の後方二階からビデオカメラを回すという行為は、先生たちに無言のプレッシャーを与えていただろうと思う。型通りの式が終わって、各自の教室で担任の先生から説明が行なわれているちょうどその頃、教室の窓越しに、校庭を走り回るごたっ子三人と子連れでなければひたすら怪しいオサムちゃんの姿が見えた。すべてのプログラムが終了し、一週間ぶりに再会したフキトとツヅキとユウキの砂まみれ水びたしになっている姿はなんとも逞しいね。うちでカレーうどんと炊き込みごはんを食べてもらっていった。無邪気に遊びながらも、ごたっ子「新ピカ」とやわらっ子「新一年生」の間で無言のエール交換が行なわれているように私には見えた。

2005年04月05日 火曜日

日経デザインのライターさん来訪。文字特集全体の流れのなかで談話として少し載るていどのものだが、問題意識のありようが似ていたせいか大いに脱線して話し込んでしまった。午後三時半、飯田橋にあるDTP関連のデザインオフィスへ。事務所の移転に伴い不要になった作業机などを物色させてもらった。机の解体作業とレンタカーのことを考えると躊躇せざるをえない。午後七時、要町某デザイン事務所にてAXISフォントスペシメンブック(書体見本帳)の打ち合わせ。

2005年04月04日 月曜日

いま自分が問われている。自分が自分に問われている。そもそも問いの立てかた自体が難問で、つくっては壊し、つくっては壊しを繰り返している。立てるではなく、土を捏(こ)ねる感覚に近い。姿を現しつつある問いから得られるその答えも、剛性の高いものではなく、可塑性に富んだものにしたい。どちらにせよ、うまく焼き上がるかどうかは窯に入れてみねば分からない。

2005年04月03日 日曜日

プランを練っています。タイププロジェクトという組織の在り方について、レタースペースという場所の在り方について。五人から七人のメンバーで構成されたチームがどういうものかは、会社勤めの経験から実感として分かりますので、まずは私を含めて四五人あたりの規模を考えています。スペース的にはもう少し余裕があるのですが、何か起こしてくれそうな人のために「空き」を残しておきたいと思います。

2005年04月02日 土曜日

名古屋の父母と弟がうちの新居を来訪。家具を作る仕事を長年やってきた父が孫のために作った机を送り届けるのがその目的である。私が小学校に入学したときに父が作ってくれた机は、その後十数年にわたって私のご自慢だった。父が汗を流して作った机と、私の書体制作を十年支えてくれた椅子。念いがこもりすぎてちょっと重いかも。

2005年04月01日 金曜日

独立して今日でちょうど五年になる。
まったくの未整備ではあるが、本日をもってレタースペースの旗揚げとしたい。「共有スペース表明」をしてから一ヶ月、レタースペースに興味を持って質問してくれる人もぽつぽつ出はじめている。その問いに答えるためには、まず「どういう場所にしたいのか」を明らかにして、そのうえで「何が共有できるのか」をすり合わせていく必要がある。
私はレタースペースを「プロジェクトが生まれる場所、プロジェクトが育ちやすい環境」にしたいと思っています。そこでは文字が「種子」となるわけですが、これまでにない美味しい果実を実らせて多くの人にそれを味わってもらいたい。この「新種の果実作り(あるいは果実作りの新手法)」に挑戦したい人と、レタースペースを耕すところから始めたいと考えています。