Type Project —visible, but invisible.

2005年02月28日 月曜日

二月が終わってしまう。はやる気持をおさえて、やるべき仕事を淡々と進める。明日の日記で小さな発表をします。小さいとはいっても、タイププロジェクトにとっては重要な「表明」です。

 梅散るや冷えた酒など思ひつゝ    茶門

2005年02月27日 日曜日

午後二時すぎ丸の内のギャラリーで開催されているカリグラフィー展へ。展覧会の主催は、MG西洋書道スクール。技術だけでなく歴史的な背景をガチーニ先生がしっかり教えられているだけあって、本格的な作品ばかりでおどろいた。カリグラフィというとすぐさま装飾的な文字を思い浮かべる人が多いかもしれないが、出品している四人の友人を中心に、タイポグラフィックなセンスが随所に感じられる展覧会だった。会場地下の喫茶店で、高岡さん荻野さん小澤君の打ち合わせに飛び入り参加。

2005年02月26日 土曜日

息子はツヅキの家に一泊。妻と以前から気になっていた近所の焼き鳥屋へ。気どりのない良い雰囲気のお店だった。座敷ならば備長炭を使って自分で焼くこともできるようだ。その二軒となりにもカウンターだけの小さな焼き鳥屋がある。常連でにぎわっているその店の名は「家路」という。

2005年02月25日 金曜日

朝から雨かいやだなあと布団でまどろんでしたら雪解けする雨垂れの音だった。カーテンをあければ一面の雪。自転車で走るいつもの景色が新鮮だ。名古屋の友人が送ってくれた松永のしるこサンドを、昨日買った鉄観音茶でいただく。『太陽』451号「極上のマリアージュで愉しむ 至福のティータイム」という記事にあった、お茶とお菓子のカップリングを思い出した(おやつフリークは必読)。たとえばこんな具合。「ミルクティーと芋羊羹」「泡立抹茶とモンブラン」「チャイと鯛焼」「番茶とアップルパイ」「水出し冷煎茶ときんつば」‥‥‥ イマジネーションをかきたてる蘊蓄が素晴らしく、写真がまた、そそります。

 春雪や萎れし花の黄色なる    茶門

2005年02月24日 木曜日

五反田と渋谷で仕事の打ち合わせ。空き時間に九品仏のD&DEPARTMENTまで足を伸ばしてカリモク家具に寛ぐ。これ!という椅子はなかなかないもので、スタイルが良くても座り心地がいまいちだったり、座面の高さはぴったりなのに肘の位置が低かったりする。十年前に一目惚れしたウェグナーのラウンドチェアは、読書に適した位置に肘が置けるのが気に入ったのだが、初Macを買うかThe Chairを買うか真剣に悩み、結局Macを優先してしまった。そして、良い椅子を持たないまま現在に至る。実利に席を譲ってしまったことを後悔しないでもないが、座に腹は代えられなかったのです。

 鈴のごと笹うつ闇や春霙    茶門

2005年02月23日 水曜日

いま多くの人がこれからどう生きていこうか真剣に考えている。裏返せば、これまでは「どう生きていくか」を考えなくても生きていけたということでもある。おもしろい時代になったものだと考える人と、たいへんな時代になったものだと考える人との間に横たわる溝は、広くはないけれど深い。溝を飛び越えた人は、思ったほどでもないと言い、溝を覗き込んでいる人は、底なしのようだと思う。下を見るからいけないんで、飛び越えるときには顔をあげて、雲を眺めたり星を数えたりしたほうがいい。

2005年02月22日 火曜日

資料提供いただいたドイツの小林さんとオランダの川西さんに『MacPower』を送付。品川コクヨショールームに寄ってお目当ての椅子アガタに腰掛けてみた。座り心地も見た目も悪くない。張り地のサンプルをもらって帰る。試用やサンプル供与など、購入してもらうまでのステップがとても大切なんだなということをあらためて認識した。田町で小塚さんと昼食、多岐にわたる話を二時間ほど。『DTP WORLD』4月号企画の賞品としてAXISフォントを提供するためワークスコーポレーションへ。小林さんと四十分ほど雑談し、午後五時に両国タイプラボへ到着。一軒目は揚げ物屋、二軒目はガード下のおでん屋台でフォントビジネスの話。

2005年02月21日 月曜日

見積りをお願いして発送したカラープリンタの連絡を待って一週間、何も反応がない。岩手にある修理工場に電話をして確認してみると、すでに修理は終わってきのう送ったという。故障が判明するのはたいてい使いたいときである。今回は無償(一年前に同様の故障で修理に出している)というのは嬉しいのだけれど、クイックレスポンスが大事なんだなあと思った一件でした。

2005年02月20日 日曜日

江戸川橋の嘉瑞工房を久しぶりに訪問した。午前十一時から五時間強、お昼ご飯も食べずに活字談義。活字といっても過去の話ではなく、もっぱら将来の話。将来の話といっても夢の話ではなく、いまそこにある具体的な問題とその解決策についての話。問題といっても金属活字の問題ではなく、デジタルタイプの問題。いまそこにある問題だけでなく、これから起こしつつあるイベントの暗中模索。

2005年02月19日 土曜日

今週は、厚さ3センチ1144ページの大冊を読んでいる。『アスクルカタログ2004 秋冬号』。魅力ある写真の扱い方はエディトリアルディレクター岡本一宣氏の力によるところが大きいのかもしれないが、首尾一貫した情報デザインと、なにがなんでも当日または翌日配送という姿勢は、アスクルという会社のなせるわざ。ASKULの「明日来る」を、私は Future will come と読み替えて、明日のためのワークプレイスの準備に余念がない。東京の朝はうっすら雪化粧。Spring has come と言えるのはもうすこし先だろうなあ。

2005年02月18日 金曜日

『Mac Power』3月号の第二特集「書体の深みにはまる」にタイププロジェクトが見開きで紹介されています。寄稿した私のテーマは「AXIS誌圏外のAXISフォント」。林檎とオレンジが仲良く並んでいます。誌面に載らなかったtalbyのサイトは、新コーナーAXISフォント使用例からどうぞ。

2005年02月17日 木曜日

ごたごた荘からの帰り道、いかにも悪そうなお兄ちゃん二人(高校二年くらい)がこちらに近づいてくる。(なんかやばそ)。サングラスのほうのお兄ちゃんが「ボクシングジムどこですか」。私「???(体勢を立て直して)う〜んこのへんにあったかなあ」。なるほど、いかにもガチンコファイトクラブのテスト生という感じではある。しかしいきなりボクシングジムはどこですかはないだろう。ジーンズにスタジャン、毛糸の帽子にスニーカー、夕方まだ早い時間に子供を乗せて自転車で走っている姿がボクサーめいていたのかな。なんか子連れ狼っぽくていいじゃないですか。「リョウザブロウ」、「ちゃん」なんてね。『がんばれ元気』が読みたくなってきた。

 梅林や花につまずき焦がれをり    茶門

2005年02月16日 水曜日

ココアの粉末をすこしのミルクでよく練り、そこへ熱湯を注ぎこむ。チョコレート同伴のときは砂糖をいれず、チョコレートを食べないときは砂糖を加える。午前六時前に震度四の中震。震度三までの揺れではぴくりともしない妻子もさすがに目を覚ました。「地震雲が出てたよ」と妻に話した二十時間後の出来事。もちろん外れることのほうが多いのだが、きのうの雲の薄気味悪さは印象に残った。昼はロールキャベツのペンネ。

2005年02月15日 火曜日

全文字チェックを終えて、また考え事に耽る。『アイデア』309号の「タイポグラフィのモダニティを探る」を読んで、当該記事の執筆者 山本太郎氏とモダンについて意見交換を行なう。

2005年02月14日 月曜日

珈琲を一杯減らしてココアを飲むようになった。バンホーテンよりも明治ミルクココア。本格派ココアといえども昔なじみのちょっと贅沢な味にはかなわない。味覚は三歳までに形成されるという説を全面的には受け入れかねるが、懐かしい味のたくわえを大人になってから増やすことは不可能である(きょうは数十年ぶりに食べた不二屋のルックチョコレートアラモードと明治ミルクココアの組み合わせに古い脳皮質が過敏に反応した)。コンビニとファーストフードの味に懐かしさをおぼえる世代が急増するなかで、家庭料理と学校給食が担う役割の大きさは計りしれない。ひとごとのように環境問題を考えるのではなく、自分の問題として「食のエコロジー(生態学)」について考え実践することがこれからのデザイナーにとって重要になってくるだろう。さらに、デザイナーである以前に一人の人間としての土台・背景・支えでもあり、単なる比喩を越えてその人の血となり肉となり骨となるはずである。

2005年02月13日 日曜日

日中は買い物と読書。おやつとA4コピー紙を買い、エジソン、ウェルチ、ドラッカーを読む。昼は大和芋ベースの和風チヂミと磯辺焼き。夜十時から『賢人』『情熱大陸』『世界遺産』を続けて観る。夜中に全文字チェック。

2005年02月12日 土曜日

さすがに三連休の公園はひとけがまばらだ。それでもちらほらと父子づれの姿を見かける。私が公園デビューしたころに比べるとずいぶん自然な風景になった。平日は言うに及ばず、休日の図書館でも父と子のカップルは奇異の目で見られたものだ。この五年のあいだに「子供の世話は母親の役目」という日本社会の常識はいともあっさり消え去った。サッカーに興じる父子、ブランコに乗る子の背を押すお父さん。一番目立っていたのは、職人めいた手つきで凧上げをしていたおじさんでした。

2005年02月11日 金曜日

日記を書き終えたあとつい「ことば」を探してしまう。箴言癖というかなんというか、悪い習慣ではないと思うのだが、日記×箴言がルーチン化していたことも否めない。習慣性の高い手順をときどき見直すのは有効なはずだ。頭の構造改革ですね。今日が休日だということを子供から教わった。ぺこり。あたま工事中ということで。

2005年02月10日 木曜日

結婚したての友人夫妻を囲んで、丸の内オアゾにて食事会。大誠、泉さん、オザキ、ハゼキ、服部、後藤、私の七人。終始なごやかで優しい気分に浸れたのは、おそらく泉さんが醸し出していた雰囲気によるものだろう。泉の名が示すとおりアルカリイオン的な方だった。そうか、泉 spring=春 spring つながりで、季節としてもふさわしいですね。

2005年02月09日 水曜日

今年の下旬からタイププロジェクトは次の段階へと進みます。プロジェクト/チーム/ワークプレイス、つまり次のプロジェクトのためのチームづくりと場所づくりを始める予定です。今日はその鍵を握るであろう人物を招いてプランの概略を聞いてもらいました。と同時に、足かけ三年のコーナーが終わりましたので、新たに『もっとことばを! 未来篇』というコーナーを設けました。『もっとことばを!』の続編みたいなものですが、より未来志向の強い言葉をピックアップしていきます。ちなみに先代の『もっとことばを!』は先哲篇としました。

2005年02月08日 火曜日

トップページで毎日更新してきた『もっとことばを!』を始めて丸三年、晴れて私の「千日回峰行」は満願となった。二年前に予告したとおり、これにて終了。荒行とは言わないまでもそれなりの難行苦行ではあった。箴言を引用させてもらった人物は、アノニマスを含めて総勢368人。もっとも多かった引用回数は、ゲーテの105回。2位チャーチル(51回)の倍以上である。私の箴言王ウォルフガング・ゲーテに敬礼しつつ、締めの言葉はこの人にお願いしました。パスカルさん、どうぞ。

 警句をよく吐く人、悪い性格。

2005年02月07日 月曜日

多摩美の学生が来訪。石神井公園駅前のモスバーガーで雑談。激辛フォカッチャが本当に激辛だったので抹茶ラテを追加注文してみた。美味しい。
昨日からアクセスが急増しているのは、佐藤豊さんのメールマガジンに私のインタビュー記事が掲載されたからです。このサイトに書いていない情報がたくさん含まれていますので是非ご覧ください。

2005年02月06日 日曜日

睡眠時間を一時間減らしたせいかさいきん眠りが深い。深く眠れるおかげで寝覚めが良い。寝る間を惜しんで働いているわけではないが、楽しい考え事が多くて眠れないのである。

2005年02月05日 土曜日

久しぶりに、実に久しぶりに休日らしい一日だ。昼は自家製ピザ。洗いものを手早く済ませ珈琲片手に本を読む。ページを引きちぎらんばかりにむさぼり読む。ちょっと乱暴な読みかただけど、このところカルシウム不足だったのでまとめて摂取。二階から飛び下りたくらいではびくともしない頑丈な骨を作るためにも。

2005年02月04日 金曜日

きょうは丸ごと一日フォントデーだった。池袋イルムスの二階で若原さん竹下君と昼食をとる。竹下君が送ってくれた年賀状(嵯峨本と見まごうばかりの出来栄え)がずっと気になっていたので、その技法について質問攻めにした。それから大正時代の活版見本帖を肴に盛り上がり、食後に本日のメインイベント PAGE 2005の展示会があるサンシャインシティへ向かう。じっくり三時間かけてめぼしいブースを廻り、情報収集と意見交換を活発に行なった。夕方仕事場に戻ると、現プロジェクトの進展を知らせるメールと、次期プロジェクトの展望が記されたメールが入っていた。過去/現在/未来のタイプフェイス・フルコース、文字の満漢全席といったところだ。

2005年02月03日 木曜日

二月は花粉が舞う憂鬱な時期だが、同時に開花の季節でもある。先日友人ふたりの新作を続けて手にした。ひとりはCDジャケットのデザイン、ひとりは切手のデザイン。いわゆる「小型グラフィック」と呼ばれる範疇の仕事で、おそらくすでに数十万人の人が購入し、数百万人の人が目にしているはずである。彼らがその仕事を専門に手がけるようになってちょうど十五年になる。同じ大学で同じグラフィックを専攻した仲間の仕事を、彼らのいないところでこうしてじっくり見るのは不思議な感じがするし、そこはかとなく嬉しくもある。お金で買えない楽しみとはこういうことをいうのだろう。いや、買わないといけないのか。

2005年02月02日 水曜日

また日記の曜日を間違えていた。このところ完全に曜日の感覚が失われている。頭の回転が鈍っているのかというと断じてそうではなく、ふだんよりずっとアクティブに駆動している。とにかく考えることが楽しくてならない。脳内「ケ」状態が長かったせいか、その反動でいまは脳内「お祭り」状態である。お祭りなのでたぶん長くは続かないと思うが、同じ阿呆なら踊らにゃ損だ。

2005年02月01日 火曜日

庭の白梅が一輪咲いた。一輪のみ、その風情が春の訪れをより強く感じさせる。そういえば先週の『日曜美術館』が光琳の「紅白梅図」だった。解釈の多様を許すあたりその名作たるゆえんではあるが、それにしても百花斉放、「紅白梅図」の元ネタはこれではないかという各人各様の自説があまりに多いのに驚きかつあきれ、そして楽しんだ。以前からよく知られているのは『風神雷神』対抗説で、私もこの説をずっと受け入れてきた。風神雷神→紅白梅図→夏秋草図という流れが分かりやすく、それぞれ前の作品のオマージュでありつつ洒落っ気があり、構図と意匠の配置転換の妙が心にくいばかりなのである。そうした分かりやすさと説得力からすると、この説が今後も定説であり続けるだろうとは思うのだが、その底流に実はもっと複雑な「形態と典籍」の見立て/隠喩/引用/変容が行なわれているのではないか、という点が『日曜美術館』の見どころだったのである。ところでこの「紅白梅図」屏風、現代風に言えば、機能的にはパーティションであり、美的にはモダンなインテリアデザインなのであります。