子供とアラジンの魔法使いごっこをしているとき、ふといたずらごころを起こし「悪い願いごとを三つ叶えてあげます」と言ってみた。しばらく苦悶の表情を浮かべ「ないなあ、ないなあ」と悩んでいる。そこへ「さあ、早く悪い願いごとを言いなさい」と迫ると、身をよじるようにして息子が叫んだ。「ご、ごめんなさい、あ、あ、ありません!」。邪(よこしま)な心は、いつどのようにして芽生えるのだろうか。悪い願いごとを考えるようささやいた邪心を恥じるとともに、悪い願いごとを思いつかない童心に小さな感動を覚えた。しかし、もし悪い願いごとを口にされていたらと考えると、ちょっと恐ろしい気がしないでもない。あやうく邪心を芽生えさせるところだったかもしれないのである。