さいきんどうも食欲減退気味なのだが、夜更けになると急にお腹が減りだす。夏の夜食に適当な食べ物って何だろう。詰めの段階に入ってきたロゴタイプを終日。
夕風や冷飯一杯枇杷一顆 茶門
さいきんどうも食欲減退気味なのだが、夜更けになると急にお腹が減りだす。夏の夜食に適当な食べ物って何だろう。詰めの段階に入ってきたロゴタイプを終日。
夕風や冷飯一杯枇杷一顆 茶門
昨晩は職場に復帰した友人を祝う会。今晩は職場を去る人を送る会。品川にて仕事の打ち合わせ。タイトなスケジュールになってきた。
玄関の正面で蝉が腹を見せて死んでいた。七年を地中で過ごし、七日を地上で鳴き暮らす。そしてある日ばたっとひっくり返って死んでいく。からりとしたものである。我々タイプデザイナーも、幾年かを地中で過ごし、いくらかの幸運に恵まれさえすれば地上に出られる。少なくとも、地下で過ごした時間より長く地上にとどまりたいと願いつつ鳴き暮らす。昨日眺めいった網戸の蝉と自分が重なった理由がいま分かった。
網戸にとまった蝉の腹を眺める。どんなに近づいても蝉の視界には入らない。おっかなびっくり横へ移動する蝉をまじまじと眺めるうちに、その蝉が自分であるかのように思えてきた。終日書体制作。
短パンのおじさん三人と子供八人の一行。ごたごた荘の畑でスイカを収穫し、野鳥の森公園へ。前を歩く子のくつを踏みつける子、口から胸にかけて砂だらけになっている子、他の子が見つけたセミの抜け殻をくしゃくしゃにしてしまう子。はちゃめちゃである。午後より書体制作。
駆ける子ら百日紅まであとわずか 茶門
朝より雷雨。陽が射すにつれ気温はみるみる上昇。それでも雨が効いたか一日冷房なしでいられるていどの暑さにとどまる。仕事場から台所にかけて蟻の隊列。打つ手なし。終日書体制作。
畳よりいざ厨へと蟻の道 茶門
室内に入ってくる蟻の数が多い。茗荷の芽が出ない。異様な暑さが原因と思われる身近な自然現象のいくつか。息子の自転車訓練と書体制作。
穴子が大好物でうなぎが嫌いなうちの妻は、絶対にうなぎを買わない。立ち寄ったスーパーで見かけた「土用丑の日うなぎ特価」の文字。気がついたらうなぎの蒲焼きのパックを持ってレジに並んでいた。匂いではなく、平賀源内のコピーにしてやられた。
打ち直しに出していた布団が二週間ぶりもどってきた。優に三倍の厚みはある。これが布団のあるべき姿だとすると、あの物体はいったい何だったのだろうか。終日書体制作。
冷房なしで仕事をしていたら頭がぼんやりしてきた。慌ててクーラーをかける。熱中症の三割は室内で起きていて、なかには眠ったまま意識が回復しない人もいるそうだ。散りゆくノウゼンカズラとつがいの揚羽蝶。終日書体修正。
現在発売中の『週刊朝日』P108に「タイプデザイナーをしているスズキ君」がちょっとだけ登場する。内堀さん描くところの、うなぎの匂いでご飯を食べる男にも似た滑稽な男の姿をご笑覧ください。「無名な痕跡が、たしかに本には刻まれているのだ(内堀氏)」。そう思ってくれる人たちの存在によってかろうじて素敵な本が支えられているのに違いない。7月16日、青山ブックセンター突然の閉鎖。
我々タイプデザイナーにとって「ゆっくりと、しかし着実に」というアプローチほど重要なものはないのだが、70年代以降着実に上昇する日本の都市気温には、業の足音ともいうべき不気味さを感じる。東京の今日の最高気温は39.5度。七月としては観測史上もっとも高い気温となった。緑陰に主義も主張もなかりけり、緑陰の思考といふものありにけり。
昨夕奥多摩より戻る。マスを巧みに捕まえる息子の姿がこの夏の思い出となった。マス捕りのあと急に高熱を発した息子だがそれはまあご愛嬌、本人も大満足の夏合宿だったろうと思う。私の太ももの傷はといえば、迅速な手当てのおかげで大事には至らず、こちらはたぶん思い出したくない思い出になるのだろう。
川辺より子供らもどる夏座敷 茶門
半日川遊び。マスを浅瀬に放流してもらって、魚の手づかみをにわか体験した子供たち。川遊びの監視係に立候補した私は、危険区域の手前に陣取って、水と童と戯れる。トイレから戻った私の太ももを指さして、ダニエルさんが「功さん、それどうしたの」と聞くので見てみると、太ももの上部から激しく出血している。冷たい水に長時間つかっていたせいで痛みはほとんどなく、指摘されるまでまったく気づかなかった。おかしな虫にかまれた可能性もあるので一時子供たちを川から上げる。そのうち見知らぬグループの小学生も寄ってきて、いつのまにか二十人近くの子供たちに囲まれていた。矢継ぎ早に「どうしたの?どこで切ったの?」という質問を浴びせられ、そのひとつひとつに冷静に答えていると、「(こんなに出血してるのに)普通に答えてるよ」という小学生の声が耳にはいった。まったくプールで溺れた監視員のような気分だ。
ごたごた荘夏合宿。奥多摩へ。初日の夕食は男親がつくったカレーと牛丼。出来は並の下くらい。まずくはないと言えるぎりぎりの範囲内、と思いたい。
庭で茗荷を探していたらひどく蚊にやられてしまった。肝心の茗荷はまだ出ておらず。渋谷にて仕事の打ち合わせ。もどって書体の修正作業。若い書き手による文芸誌『ファウスト』の第三号で、AXISフォントでもっとも細いUltra Lightが縦組の本文で使用されています。書店店頭にてご覧ください。驚きの細さです。
息子の六歳の誕生日を祝う。手巻き寿司と手作りのケーキ。終日書体の修正作業。
午前中ロゴタイプ。午後からはひたすら書体の修正作業。息抜きに『日本のアウトサイダー』(河上徹太郎)を走り読み。岡倉天心の破天荒な行状が面白い。平行して同著者の『吉田松蔭』も読んでいるのだが、こちらはちょっと居ずまいを正さなくては読めないような内容になっている。
いずれは出会うであろうタイプデザイナー二人を、やや強引なスケジューリングでもって顔合わせしていただく段取りを組んだ。余計なお節介だったかもしれないが、一人は海外在住ということもあり、今がいいタイミングではないかと思った。私にとっては仕事の引き継ぎ的な意味合いもあったし、そしてなにより、その場に自分が居合わせたかった。
東京はここ二三日しのぎやすい気候が続いている。疲れぎみの体には有り難い。しかし、やらねばならない仕事量が超過傾向にあり、くつろいだ気分からはほど遠い。ちょっとしんどい夏になりそうだ。
静かに雨は降り始めやがて雷雨へ。遅れ気味の仕事を進める。書体制作とロゴタイプ。
日本は初めてというブラジル人女性の観光案内。まずは両国の江戸東京博物館へ。スペイン語通訳のボランティアについてもらい、二時間半かけて江戸東京博物館を観て回った。そのあと立野さんの通っている寄席文字教室を見学。橘 右龍さんと右門さんの実演を拝見したあと、立野さんの計らいで、我々(昌生さん、吉岡さん、小澤君、クリスティーナ)も筆を持たせてもらう。悪戦苦闘、あっという間に一時間が経過し、横画一本まともに書けないのであった。
盛夏。凌霄花と百日紅。書体制作。カレースパゲティとアイスコーヒー。夜十一時を過ぎたあたりから涼しい風がそよぎはじめ、気持ちよく仕事が進む。
品川で仕事の打ち合わせ。ロゴタイプの方向性を探る。港南口から高輪口に回って、前から行ってみたいと思っていた書肆 啓祐堂を尋ねてみた。HPによれば、店主が定年されてから始めた古書店だそうで、いわゆる稀覯本の類いは見当らない。姿のよい本が整然と並び、爽やかな空気が店内に流れている。店主に出していただいた冷たい緑茶がことのほか美味しかったのは、猛暑のせいばかりではあるまい。主人の姿勢が美しければ、おのずと客の姿勢も正されるのだと思う。
ロゴタイプ案を絞り込み、先方に候補案を送付。あとはひたすら書体制作。千夜千冊あしかけ四年、七夕の今宵ついに満願。そうか、良寛が残っていたか。古賀さんの名前が出てきたのは嬉しかった。千夜の掉尾に詩書画が散ったのもよかった。それにしても雪に始まって雪に終るなんて。めぐり読めども端なきサイト。千夜しやんせ、千冊三世。
いろはうた涼しくこゑにいだしけり 茶門
一二三(ひふみ)ゆびをりかぞふ天の川 同上
書体制作とロゴタイプ試作。換気扇を回して空気の通り道をつくる。冷やっこ、めかぶ、サーモンマリネ、こふきいも。
汗をぬぐいつつ書体制作。クーラーの出番はもうすこしあとだ。やせ我慢も和文タイプデザインに必要なひとつの資質である。濃厚なプラムにかぶりつき果汁をすする。夜風に吹かれながらふたたび書体制作。
『中国文学雑談〜吉川幸次郎対談集』を読む。石川淳の口ぶりがいい。たとえばこんな具合。「杜甫も気がきかない。慷概ばっかりしやがって」。それに応えて吉川幸次郎いわく、「石川さんみたいだ」。自転車の特訓と書体制作。
からりとした夏の風。酸味を効かせたスープ春雨にゴマ辣油を数滴。ニラ、豚肉、しいたけなど具だくさん。書体制作。山本健吉『刻意と卒意』を読む。
昨晩ナベさんと二人で飲んだあと、恵比寿駅へ向かう途中で杉浦康平氏とすれ違った。北園克衛・清原悦史・VOUのことなどを話題にしていたばかりだったのでちょっと驚いた。偶然の驚きよりも忘れられないのは杉浦氏の歩行で、それはまったく旋風(つむじかぜ)のようだった。拈華微笑を湛えた旋風は、瞬く間に夏の闇に消えていった。
再就職か独立か。後者を選んだ友人の船出を祝うささやかなうたげ。岩ガキ、もずく酢、鮭ハラス。