快晴。夏めく。槍のごとくに茂る茗荷の葉っぱの頼もしさ。六本木アクシスビルにて、AXISフォント下半期の販売計画について打ち合わせ。そう、2003年の上半期はもう終わったのである。
快晴。夏めく。槍のごとくに茂る茗荷の葉っぱの頼もしさ。六本木アクシスビルにて、AXISフォント下半期の販売計画について打ち合わせ。そう、2003年の上半期はもう終わったのである。
前日の出来事をおもいだしながら日記を書くのは苦痛である。だからといって、夜中にごそごそ起き出して、寝ぼけまなこで書かなくともいいのだが。書体制作すこし。
夕方から赤坂見附の草月会館へ。編集工学研究所主催「水無月縁会」。御年96歳の大野一雄氏が、小唄にあわせて舞った。車椅子に座ったまま、チョイナ、手に万感をこめて踊った。三味とビートに誘われて、サノサ、ひらひら舞った。
ひとりで仕事をしていると、日々自分に自分を試されているようではなはだ居心地が悪い。わかったよ、やりますよ、やりゃあいいんでしょと毒づきたくなる。とりわけ、こんな天気の良い、ビールと冷や酒がおいしいはずの日には。
くびすじをさまでやさしく夏の風 茶門
昨日の雷雨によってかとても涼しい。半袖では肌寒いほど。おやつに茹でたとうもろこし。座るのももどかしく、立ったまま食べ尽くす。時代小説と書体制作。
手塚先生が自分のことを認めてくれているのなら、あとのすべての人がなんと言おうと平気だ、という意味のことを立川談志が以前どこかに書いていた。この気持ちはよく分かる。しかし自分の仕事を認めてくれる相手はなにも「天才」手塚治虫でなくともよい。ごく普通の人の言葉がかえって心に響くことだってあるのだから。けさ読んだ「ごく普通の人」と思われる試用版登録者のコメントは、いつになく響いた。
しとしと雨に気分も湿りがち。へんな咳が出るので紅茶に蜂蜜をいれて飲んでみる。書体制作のあいまに『眠狂四郎無頼控』を読む。なるほど、寂寞とした焔、か。
寂寞(じゃくまく)と昼間を鮓のなれかげん 蕪村
寂(せき)として客の絶間(たえま)の牡丹かな 同上
曇りのち雨。エンジンのかかりが悪い。自分のからだのことである。エンジンそのもののチューンナップはむずかしいだろうから、潤滑油を注ぐか、エンジンのかけ方を工夫するしかあるまい。魚の煮付けと芽かぶ。純和風の夕食。
白土三平『カムイ伝』、夢枕獏『餓狼伝』、帰りの新幹線では柴田錬三郎の『秘剣揚羽蝶』を読んだ。その他、弟が撮っておいてくれたK-1とPRIDEのビデオをまとめて見、たまっていた『バガボンド』をまとめて読む。忍術・武術・剣術にひたった三日間というわけ。
名古屋。晴れ。古本屋を十軒ほどまわる。背表紙にまんべんなく目を走らせつつ、店内で交わされる名古屋弁に聞き耳を立てる。自分が話すぶんには名古屋弁を意識することはないのだが、話されている名古屋弁に対しては敏感になった。濃密な名古屋弁による店主と客のやりとりを聞いて思ったのは、商いにはその土地の言葉が欠かせないということ。商い=飽きない、つまり飽きさせないのが商いの大事であり、商いにとって言葉がたいそう重要な道具であるということ。
文庫本と弁当を持って名古屋行きの新幹線に。家人とともに二泊三日の帰省。あした雨でなければ、鶴舞・上前津間の古本屋をゆっくりのぞいておきたい。蓄積した疲労は帰省によってとれるのかたまるのか。
晴れ。こどもをごたごた荘に送ったあと石神井図書館に立ち寄り、予約しておいた本を受けとる。昼食後、書籍郵便を発送したあと近所の古本屋をのぞく。収穫はなし。夕食はイカの姿焼き。イカのわたと刻みネギををオーブンで焼き、これをイカの姿焼きにのせて食べる。
庭木の剪定をしていた大家さんから青梅をいただいた。とりきったと思っていたうちの(ということはつまり大家さんの)庭の梅の木からとれたものである。「これで全部です」とボール山盛り二杯分の青梅を私に手渡したときの大家さんの晴ればれとした表情。これら最後の青梅は、オサムさんにひきとってもらい、梅ジュースになる。
朝晩すずしいおかげでよく眠られる。でかけたいのを我慢して書体制作。燃えつきてしまうような根のつめかたはしていないが、いつまで今のペースで仕事ができるのかふと不安になることもある。家で餃子をたらふく。
雨ふったりやんだり。終日書体制作。予定より遅れぎみなのですこしペースをあげる。夕食、手羽先にかぶりつく。
紫陽花の花の色は土壌によって変わる。土壌の酸性度が高ければ青、中性であれば赤。見渡せば青い紫陽花ばかり。小雨。おそらく酸性。
かきつばた江戸紫に濡れにけり 茶門
トールさん宅にてごた夏合宿打ち合わせ。正午より雨。夕食お好み焼き。天候、体調ともにいまひとつなのでビールなし。読了本の抜き書き作業。書体制作少々。
湿気をたっぷり含んだ風。こういう日は熱い珈琲にするか冷たいコーヒーにするか大いに迷う。『江戸俳諧にしひがし』(飯島耕一・加藤郁乎)読了。
闇夜から梅雨のことばをとりだせり 茶門
ライノタイプ社の小林さんから、新書体のパンフレットが三種類届いた。Optima Nova, Vialog, Sabon Next。このうちOptima Novaに関しては、『デザインの現場』や当サイト内の「一問一答」のコーナーで取り上げているので、知っている方も多いかと思うが、あとの二書体、VialogとSabon Nextも見るべき点が豊富にある。Sabon Nextのスペシメンブックは、単独書体の見本帳としては、1994年にAdobe Jensonのためにつくられたスペシメンブック以来の充実ぶりといえよう。Sabonのリカットにジャン・フランソワ・ポルシェを起用した点にも注目したい。ポルシェは、このPlatinum Collectionのシリーズに出るべくして出た人物といえなくもないが、40歳前の彼を、これまでの顔ぶれ、すなわちアドリアン・フルティガー、ヘルマン・ツァップ、ハンス・エドワード・マイヤーの横に並べてみれば、この人選がどういう意味を持つかが分かるであろう。
9月から某美術大学の非常勤講師として授業を担当することになった。午後から学校の下見と講師間の顔合わせ及び打ち合わせ。デザイン科一学年の学生数は180名強。一学科あたりの学生数の多さは世界でも稀な規模だとか。ずっと小さな所帯でデザインを学んできたので、そういう規模の授業が想像できない。いかに小さな単位をつくるかが鍵になりそうだ。
子どもの就寝前30分ほどを独楽まわしとトランプにあてるのが日課のようになっている。それなりに燃えるし悔しくもある。それなりに、では済まなくなるけれど、メンコができるようになるといいなあ。名古屋ではメンコをしょうやと呼んでたっけ。年季のはいったメンコの風合いと、あの独特の色合いがなつかしい。男の子にはたいていお気に入りのメンコがあったものだ。幼少期のお気に入りがいかに大切か、レイ・ブラッドベリの『ブラッドベリがやってくる』を読んでください。昔の自分が帰ってこられる穴を埋めてはいけない。何かがやってくる道を閉じてはいけない。
なくしもの憶ひいづるや梅雨の入 茶門
からだを動かしたおかげでしっかり眠れ、頭もしゃきっとしている。月曜日くらいはこうでないと。いただきものの梅のシロップ漬けをお湯割りにして飲む。こちらは疲労回復に効いてるようだ。エンジン全開で書体制作。
やきめし、シエスタ、筋肉痛。起きてアイスコーヒー、書体制作。
綱引きには、体重差や体力差だけではなく、地の利という要素も見のがせない。地面の微妙な傾斜が勝敗に大きな影響をおよぼすのである。斜面の低い側が圧倒的に有利なのだ。体重差を跳ね返して勝った一度目の勝負は、地の利が有効に働いた結果だった。二度目は場所を入れかえ、あっさり完敗。三度目の決定戦では上下差のハンデが出ないように90度移動しての勝負。最後尾から檄を飛ばす。「引けええ、引けええ」。結果は大方の予想をくつがえし、体重に劣るチームが勝った。技術力の差があるとは思えないので、気力の差が勝敗を分けたか。石神公園にてごたごた荘運動会。綱引き、パン食い競争、リレーの他に、気功による準備体操、花いちもんめ、マイムマイム。公園を通り過ぎる人たちの奇異のまなざし。マイムマイムマイムマイムマイムメッサッソ!
九鬼周造『「いき」の構造』再読。いちどめより格段に楽しめた。何はなくとも意気地はありたし。
あまりに天気がよいので仕事をいったんきりあげて神田の古本屋街へ。買い求めたのは、中公新書『連句入門』東 明雅、ちくま文庫『良寛』唐木順三、新潮選書『私自身のための俳句入門』高橋睦郎など。ひととおり物色しおわったあと盛り蕎麦を食べて仕事場へもどる。
初夏やへそのあたりがこそばゆし 茶門
曇りのち雨。放ったらかしにしてあった『エセー』をすこし読む。このまぎれもない古典は、さらに前代の古典、例えばセネカ、キケロ、ルクレティウスなどの書物からの引用がおびただしい。モンテーニュ自身は、とりわけセネカの簡潔と多様から多くを学んだと『エセー』で告白している。井戸水を汲みあげるように、こだまを響かせるように、鏡に映すように『エセー』を読む。おそらくモンテーニュもそのようにして古典を読んだはずである。
梅雨入りまえの数少ない爽やかな一日。春雨、さみだれ、梅雨と続き、炎暑のあいまに夕立、台風。まったく日本は雨の国といって差し支えない。そして最近はヒートアイランド化にともなう都市の雷雨がこれに加わった。無風流。
紫陽花に映りにけりな雨の色 茶門
のこりの青梅をとりきる。昨日の分は山田さんのところで梅干しに、今朝とった50個ほどは大林さんのところで梅酒にかわる予定。
雨上がり。庭の青梅をとる。例年より小粒だが、数は非常に多い。一本の梅の木から200個はとれた。どくだみがむせかえるほどに匂う。
青梅のしずくあびけり笑ひけり 茶門