負け戦(いくさ)。はなから勝負はみえていた。しかし、しかしだ。郷里尾張の味をもってしても防ぎきれなかったこと、さらには、手加減されての敗北だったことがいかにも口惜しい。電脳機器が集中している「本丸」を守るのが精一杯だった。その本丸に手負いの兵士がひとり運び込まれた。我が息子である。風邪気味なのに加え、今日の戦を心待ちにするあまり、気分の昂揚によって息も絶えだえなのだ。なぜか左目が腫れている。戦場からは、怒声、雄叫び、泣き声に交じって、恐ろしげな破壊音が聞こえてくる。総勢約25名。子の刻(午後十一時すぎ)「今日のところはこのへんで勘弁してやろうか」と言わんばかりに一斉に潮がひいた。安堵と屈辱。城外で勝鬨(かちどき)の声がする。戦は終わった。肝が冷え、胃が縮んだ。腰と喉をやられた。昨日の白昼夢は幻ではなかったのだ。付け加えておくと、猛者どもは男でも子供でもない。女将たちであった。再戦を期す。
刮(こそ)げとる味噌も饂飩も鍋の焦げ 茶門
なつかしや宴果てたる霜の朝 同