息子とともに石神井図書館へ。予約しておいた『墨』のバックナンバー10冊と、『鉄腕アトム』のビデオを借り出す。帰りは三宝寺池へ寄り道。この寒空のもと池の脇では翁らが将棋を差している。四組の対局にそれぞれ三人ほどの見物客。石神井公園はさまざまな楽器の練習場にもなっており、俳句吟行会や写真撮影会もよく催されている。アマチュア画家と釣り人は殊に多い。琴棋書画のうち見かけないのは書だけである(さすがに琴を持ち込む人はいないようだが、横笛の練習をしている人は見たことがある。なんとも雅びな桜の季節の出来事だった)。さて書のことだが、吟遊詩人ならぬ吟遊書人が石神井公園を徘徊していたら耳目を集めるに相違ない。身を晒すより屋に籠るのが性にあっている私には到底無理だ。炬燵にもぐって青木正児の『琴棋書画』でもめくっているほうが断然よい。横道ついでに、『琴棋書画』に「顔真卿の書学」という短文がある。張旭に筆法を請う顔真卿、顔真卿にひれ伏した懐素がちらりと登場する。屋漏痕。壁のしみからインスピレーションを得たダ・ヴィンチに通ずるものがある。そうか、屋に籠ってもよいのだな。「痕」に何かを感じられるなら。
翁打つ駒の響きや冬木立